The Wildhearts『Endless, Nameless』
このアルバム、音を実際に聴く前にある程度情報は入っていたんです。おもに『BURRN!』からですけどね。試聴したある編集者はヘッドフォンが壊れたかと思ったとか、デヴィン・タウンゼントのS.L.Y.に影響を受けているとか。つまりかなりノイジーだということを知っていたので、初めて聴いた時それほど驚きはなかったんです。でも今までに聴いたことのないような音だった。このアルバムが出たあと、同じような音を出すフォロワーが出たとか出ないとか。
ノイズばかりが注目されがちなアルバムですけど、よく聴くと(よく聴かなくても?)ポップなメロディは今までのワイルドハーツと変わらない。混沌とした音の中に流れるメロディという構図がタマラないと思うんですけど、発表当時(から今も?)賛否両論なアルバムであるのは当然といえば当然な轟音です。でも、もともとハードな音とポップな歌を合わせるということをおそらく世界で最初に成功させたバンドであるワイルドハーツなのだから、行き着く先はこういう音になってもおかしくはない、と思うわけです。このあと何度目かの解散(活動休止)でしばらくぶり(2002年)に出したシングルでは昔の音に戻っているけどね。まぁ、こういう音はモチベーションというかある種のテンションがないと作れないんだろうな。
今まで散々戦ってきたeast west UKをやっと離れられて、最初に出したのがこういう音だったというのは興味深い。アルバムの出た何年後かのインタビューで、このアルバムではダニーはベースを弾いてないというのを読んだ気がする。薬物中毒だったかな、確か。レコード会社の問題が片づいたらまた新たな問題が生まれていたということだったらしい。ワイルドハーツに限らず、「怒り」という感情は創作するということにとっては、かなりのパワーを与えるものじゃないだろうか。あまり良くない感情のように思われがちだけど、そんなことはないと思う。
ところでタイトルの『Endless, Nameless』ですが、これはニルヴァーナの曲名からとったという。ジンジャーはカート・コバーンが自殺した時に散々悪く言っていたらしくなんで?と思われたそうです。実は好きだからこそ自殺なんかしやがってという気持ちで言っていたらしい。ジンジャーらしいな、誤解されやすいところとかも。
しかしもうすぐ10年経つんだな。時が経つのは早いな。
The Wildhearts『Endless, Nameless』(1997)
- Junkenstein
- Nurse Maximum
- Anthem
- Urge
- Pissjoy
- Soundog Babylon
- Now Is The Colour
- Heroin
- Why You Lie
- Thunderfuck
- Pump It Up (日本盤ボーナストラック)
- アーティスト: ワイルドハーツ
- 出版社/メーカー: RCAアリオラジャパン
- 発売日: 1997/11/01
- メディア: CD
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